終活相続準備~戸籍集めその21【横浜市戸籍取寄せ代行】

お世話になっております。横浜市、川崎市を中心に家系図作成、公正証書遺言、相続手続きを行っているこぐち行政書士事務所です。当サイトをご覧くださいまして誠にありがとうございます。

前回から、「戸籍」について書いております。

戸籍は家系図作成、公正証書遺言、相続手続きについて必須なので本日も戸籍に関して連載していきます。

👲兄弟姉妹が相続人の場合、戸籍調査はどうするのですか?

☺子どもがいない場合は、相続人は兄弟姉妹になり、戸籍集めが苦労します。

👲夫であるAさんが亡くなり、奥さんが相談にきました。話を聞くと以下のようなことを話されました。

1,夫婦間には子どもがいない。

2,父母も亡くなっている。

3, 妹2人(B・D)弟1人(C)がいますが、妹(B)さんのみ生きている。

4,亡くなった弟の子(甥F)は生きている。

5,亡くなった妹の子(姪G)も亡くなった。ただし、姪の子(H)は生きている。

6,夫Aさんの父は再婚で、前妻さんとの間に子(E)さんがいます。

この場合、誰を相手に相続手続きを行えばよいのでしょうか?

また、戸籍は誰のものを集めれば良いのでしょうか?

☺ 法定相続人は(1)奥さん(2)妹Bさん(3)甥Fさん(4)父の前妻との間の子Eさんの4人です。

戸籍は被相続人Aさん・義理の父母・弟cさん・妹Dさん・父の前妻の子Eさんについてはそれぞれ出生から逝去までの戸籍が必要です。

その他長女Bさん・甥Fさん・姪Gさんの現在戸籍も必要です。

Bさん・Fさんは生存を確認します。Gさんは死亡の確認をします。

兄弟姉妹の相続

兄弟姉妹は第3順位の相続人です。(民法889条1項)

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)

第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

二 被相続人の兄弟姉妹

2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

両親が同じ兄弟姉妹だけではなく、半血の兄弟姉妹(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)も法定相続人ですが、法定相続分は半分になります。(父母を同じくする兄弟姉妹の半分)民法900条4

(法定相続分)

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

兄弟姉妹の相続も直系尊属の相続と同じく、先順位の相続人がいないことを確認しなければならないため、まず被相続人に子がいなかったことを確定させ、次に直系尊属がいないことの確認をします。

このように、先順位の相続人がいないことを戸籍を収集して確認しなくてはならないため、相続調査は順位が下に行くほど大変です。兄弟姉妹の相続調査は通常より多くの戸籍調査が必要です。

両親の戸籍までさかのぼると兄弟姉妹が記載されているため、ここで調査を終了することもありますが、両親の戸籍に記載されている子以外の子(半血の兄弟姉妹)がいなかったかどうかの確認はこれだけではわかりません。

そのため、半血の兄弟姉妹の有無は両親が子どもをもうけることができる年齢までさかのぼらなければ確定しません。

兄弟姉妹の相続手続きに必要な戸籍

兄弟姉妹の相続は次の戸籍が必要になります。

1,被相続人の出生から逝去までの連続した戸籍

これで先順位、子がいないことを確認します。

出生から死亡までさかのぼれば親の戸籍にたどり着きます。

子が先に死亡していた場合は代襲相続人の有無の確認、すなわち死亡した子の出生から死亡までの戸籍も必要です。

2,直系尊属の死亡の記載がある戸籍

父母の双方の養親・祖父母など、直系尊属が死亡していることを確認します。

3,父母の出生から逝去までの連続した戸籍

被相続人の出生めでさかのぼるとほとんどの場合、兄弟姉妹が判明しますが、父母がさらに半血の兄弟姉妹がいないことを確認するには両親の戸籍まで戸籍をさかのぼらなければなりません。

4,相続人全員の戸籍

兄弟姉妹が独身であれば親の戸籍に入ったままです。

しかし、婚姻などで戸籍を出ているときは新しく編製された戸籍を確認します。

半血の兄弟姉妹が見つかったときはこの人の戸籍も必要です。

兄弟姉妹も代襲相続が認められていますが、子の代襲相続とは異なり、一代の代襲のみです。

甥姪までの戸籍で確定します。

それぞれの戸籍で何をしますか?

相談内容の相続手続きで相続関係図を作成すると上記の図になります。

長男である夫Aが死亡した場合に相続人を確定させるために必要な戸籍と確認事項は、以下のとおりです。

1,被相続人Aについて、現在の戸籍で死亡と配偶者の確認をします。

次に出生から死亡までの戸籍で子及び代襲相続人がいないことを確認します。

2,被相続人Aの戸籍をさかのぼると父母の戸籍にたどり着きますので、そこから父母の戸籍を死亡までたどります。

父母が死亡していることが確認できたら、次に父母の出生から死亡までの戸籍で子、半血の兄弟姉妹及びその代襲相続人の有無を  確認します。

半血の兄弟姉妹は父母が婚姻する前だけではなく、婚姻後もいなかったかどうか、離婚後さらに子をもうけた場合や認知した場合などの確認もします。

3,祖父母の死亡を除籍で確認します。

4,妹Bが生きていて相続権があることを現在の戸籍で確認します。

5,甥F以外に子がいないことを弟Cの出生から死亡までの戸籍を集めて確認します。

6,甥Fが生きていて相続権があることを現在戸籍で確認します。

7,姪G以外に子がいないことを妹Dの出生から死亡までの戸籍を集めて確認します。

8,姪Gが死亡により除籍されていることを戸籍で確認します。

なお、姪の子Hには相続権がありませんので戸籍をとる必要はありません。

9,半血の兄弟姉妹Eが生きているかを現在の戸籍で確認します。

もしEが死亡していたら、出生から死亡までの戸籍で代襲相続人がいないかを確認します。

以上、兄弟姉妹の相続について書いてみました。

子どものいない夫婦の場合は、兄弟姉妹が相続人となる場合が多く、相続人も甥姪と多数の場合があります。

遺言書を作成するには、生まれた時から現在までの連続した戸籍謄本を集める必要があります。

遺言書を作成するか決めかねている場合は、ご自身の戸籍を集めてみるのは如何でしょうか?

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