相続手続き第1歩戸籍集めその6【横浜市港北区相続相談】
お世話になっております。横浜市、川崎市を中心に家系図作成、公正証書遺言、相続手続きを行っているこぐち行政書士事務所です。
当サイトをご覧くださいまして誠にありがとうございます。
前回から、「戸籍」について書いております。
戸籍は家系図作成、公正証書遺言、相続手続きについて必須なので、本日も戸籍に関して連載していきます。

大正4年式の注意点
😯大正4年の戸籍を読んでいくうえで注意点はありますか?
☺大正4年式も明治時代の戸籍と同じように、戸主を中心として、一家の記載がある「家父長制」独特の特徴があります。
一つの戸籍に一家全体が入っています。例えば、戸主、母、妻、長男、姉、弟、弟の妻、甥、姪が一つの戸籍に入っています。
家系図作成、相続手続きでは大正4年式も調査する必要があり、現行戸籍との相違点を確認します。
大正4年式の特徴
大正4年式は、大正4年1月1日から昭和22年12月31日まで作られました。
戸籍の1枚目の表面には戸主1人が記載され、裏面には2人、2枚目以下は表裏とも2人が記載されています。
明治31年式の特徴である「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日欄」が廃止され、その内容は戸主の事項欄に記載されるようになりました。
大正4年式の見方

図の戸籍には戸主である山●●の事項欄から、前戸主である山●△が大正4年8月17日に亡くなったことにより、母の山□が家督相続届出と記載されています。それより前の戸籍を調べるには前戸主の山●の戸籍を調べる必要があります。
大正4年式など、旧戸籍は前に書いた通り1つの戸籍にいくつでも夫婦が入ることができました。
そのため、長男の山●●結婚時は前戸主(父)山●△が存命だったので、お嫁さん(妻)の山□は、最初は、長男の妻として山●△の戸籍に入りました。この点は現行戸籍(昭和23年式以降は一戸籍一夫婦が原則)とは大きく異なります。
大正4年式では大家族の戸籍も多くあります。
家督相続
大正4年式戸籍を見るときは家督相続が重要な意味をもちます。
旧相続法では、家督相続という制度がありました。(明治31年~昭和22年)。
家督相続人(原則長男)が前の戸主が持っていた地位を全て引き継ぐことです。
家督相続の優先順位は、第1順位の直系卑属(長男優先)から第5順位の親族会により選定した人までが法定されていました。
昭和22年5月2日前までの死亡についての相続登記は、家督相続人の死亡が登記原因になっています。
相続原因
旧民法964条 下の事由に依って開始
1.戸主の死亡又、隠居又は国籍喪失
2.戸主が婚姻又は養子縁組の取消に因って其の家を去ったとき
3.女戸主の入夫婚姻又は入夫の離婚
相続人t4
旧民法970条1項 被相続人の家族たる直系卑属は下の規定に従い家督相続人となる
1.親等の異なった者の間に依っては其の近い者が先
2.親等の同じ者の間に依っては男が先
3.親等の同じ男又は女の間に依っては嫡出子が先
4.親等の同じ者の間に依っては女と雖も(いえど)嫡出子及び庶子が先
5.前4号に揚げた事項に付き相同じ者の間にあっては年長者が先
2項 836条の規定に依り又は養子縁組に因って嫡出子たる身分を取得した者は家督相続に付いては其嫡出子たる身分を所得したときに生まれたものと看做す
972条 第737条及び第738条の規定に依って家族となった直系卑属は嫡出子又は庶子たる他の直系卑属なき場合に限り第970条に定めた順序に従って家督相続人となる
974条 第970条及び第972条の規定に依って家督相続人たるべき者が家督相続の開始前に死亡し又は其相続権を失った場合に於いて、其者に直系卑属あるときは其直系卑属は第970条及び第972条に定めたる順序に従い其者と同順位に於いて家督相続人となる
836条1項 庶子は其父母の婚姻に因って嫡出子たる身分を取得する
2項 婚姻中父母が認知した子は其認知の時より嫡出子たる身分を取得する
3項 前二項の規定は子が既に死亡したる場合に之を準用する
効力
986条 相続開始時より前戸主の有せし権利義務を承継
今の民法では、相続は被相続人の死亡によってのみ開始されますが(リンク民法882条)、家督相続は、戸主の死亡以外にも原因がありました。「死亡」以外の原因としては「隠居」・「入夫婚姻」・「国籍喪失」等があります。
このうち「隠居」とは、戸主が家督を生前に家督を他の者に譲って引退することです。
戸籍には「隠居ニヨリ家督相続」と記載されます。入夫婚姻とは、夫が女戸主である妻の家に入る婚姻の事です。
この場合、夫は原則として戸主となり、女戸主であった妻から生前に家督相続を受けることになります。
因みに私の母方の曾祖父がそうでした。
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私見ですが、日本がジェンダーギャップ指数下位なのも、明治民法が諸悪の根源だと思います。
遺言書を作成するには、生まれた時から現在までの連続した戸籍謄本を集める必要があります。
遺言書を作成するか決めかねている場合は、ご自身の戸籍を集めてみるのは如何でしょうか?
リンクもご覧いただけたら幸いです。
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