終活相続準備第1歩~戸籍集めその10【横浜港北終活相続相談
お世話になっております。横浜市、川崎市を中心に家系図作成、公正証書遺言、相続手続きを行っているこぐち行政書士事務所です。
当サイトをご覧くださいまして誠にありがとうございます。
前回から、「戸籍」について書いております。
戸籍は家系図作成、公正証書遺言、相続手続きについて必須なので本日も戸籍に関して連載していきます。

旧民法から新民法への移行の際の改製
😯戦前の旧民法から戦後の新民法になった際に何が変わったのですか?また、改製作業はどのように行われましたか?
☺戦後、旧民法の改正により、家族制度が大きく変更されました。
家制度の廃止、戸主制度が廃止されたため、戸籍制度も改正せれました。
しかし、戦後の混乱の影響で改製作業は10年間の猶予の後に開始されたのです。
10年間は新たな戸籍編成以外は旧様式がそのまま使われていました。
戦後の新民法施行による改製
戦後の新民法施行で、家族制度が大幅に変わり、昭和22年に戸籍法も改正されました。
その時の日本は、米国の占領下にあり戦後の混乱が収まっていなかったため、大正4年式から昭和23年式への改製は、10年後に延期されました。
そのため、昭和23年式から10年間は大正4年式の表記のままで新法上の戸籍とみなされることになりました。
そして、10年経過した昭和33年4月1日から大正4年式の改製作業が始まりました。
この改製作業に先立って出された政令が「昭和32年法務省令第27号」です。
昭和23年式への改製
簡易改製(大正4年式)
図(大正4年式)

図の戸籍事項欄には私の祖父の山○の戸籍には「昭和参拾弍年法務省令第二十七号により昭和参拾参年四月壱拾七日本戸籍改製」
→昭和32年の法務省令により古い戸籍のまま改製されたことがわかります。
「昭和壱拾五年壱拾弐月弐拾日行政区画変更につき昭和参拾参年六月壱日本籍中小田原に更生」
「昭和参拾弍年法務省令第二十七号により昭和四拾年九月拾四日あらたに戸籍を編製したため本戸籍消除」と書かれています。
→簡易改製の後、新様式の戸籍用紙に編成するため、任意改製が行われたことがわかります。
※上記の大正4年式戸籍は大正4年8月17日に始まり、昭和40年9月14日に終わった戸籍です。
任意改製(昭和23年式)
図(昭和23年式)

上記の戸籍の戸籍事項欄には「昭和参拾弍年法務省令第二十七号により昭和参拾参年四月壱拾七日改製につき昭和四拾年九月壱四日本本戸籍編製」と書かれています。
さらに、その横には「昭和五拾四年七月弐拾日東京都世田谷区○丁目~転籍届出同年八月壱日同区長から送付消除」と書かれています。
すなわち、上記の戸籍は昭和40年9月14日に始まり、昭和54年7月20日に終わった戸籍となります。
これにより、戸籍の連続性がわかります。
簡易改製と任意改製
上記の2つの戸籍のように昭和33年以後の「改製」ですぐに新しい戸籍が編製されなかつた事例です。
大正4年式戸籍を見ると戸主事項欄に「昭和参拾弍年法務省令第二十七号により昭和参拾参年四月壱拾七日本戸籍改製」と書かれています。
昭和23年式戸籍に新しく編製されたため、「改製」と書かれていますが、大正4年式にもかかわらず、「改製」と書かれています。
本来新しくできる戸籍に記載されるはずの「改製」が、なぜ大正4年式に記載されているのか?という疑問があると思います。
これは、旧民法(大正4年式)の戸籍であっても、その戸籍に在籍している人・在籍状況が新民法(昭和23年式)の戸籍編製基準に合っている場合は、そのままでも問題がないため、戸主の事項欄に改製事由を記載して改製済みの効力を生じさせ編製替えを省略したという経緯があるからです。
この改製を簡易改製と言います。このため上記大正4年式の戸籍は昭和33年4月17日の時点で古い戸籍のままで「改製」されていることになります。(昭和32年法務省令4条1項)
しかし、このままにしておくと、旧戸籍と新戸籍が混在して混乱するおそれがあります。
したがって後日、新戸籍とするために、新様式の戸籍用紙を用いた編製替えが認められました。(同令4条2項)
この改製は各市町村の任意であったため任意改製と呼ばれています。
この任意改製が行われると、読み替えて使用されていた旧様式(大正4年式)の戸籍は「昭和参拾弍年法務省令第二十七号により昭和参拾参年四月壱拾七日本戸籍改製」「昭和壱拾五年壱拾弐月弐拾日行政区画変更につき昭和参拾参年六月壱日本籍中小田原に更生」
「昭和参拾弍年法務省令第二十七号により昭和四拾年九月拾四日あらたに戸籍を編製したため本戸籍消除」と消除の記載がされたうえで、戸籍が終わることになります。
以上、旧民法から新民法への移行の改製について書きました。
遺言書を作成するには、生まれた時から現在までの連続した戸籍謄本を集める必要があります。
遺言書を作成するか決めかねている場合は、ご自身の戸籍を集めてみるのは如何でしょうか?
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